光造形3Dプリントでプレートに何も付かない(密着ゼロ)の原因と対処法|チェック手順まとめ

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Resin 3D printing zero adhesion troubleshooting infographic showing three failure types: A film remains in vat, B nothing forms, and C initially sticks then detaches from the build plate.

Resin prints that don’t stick to the build plate can usually be fixed by checking a few key conditions.

この記事のポイント

  • 「密着ゼロ」を3つの状態に分けて、原因を探しやすくします
  • 対処はチェック順に並べ、先に効きやすいものから試せます
  • 艦船模型を実例にしますが、他ジャンルにも応用できます

0. まず確認すること(この記事の対象)

この記事は、光造形(レジン方式)で次のような状況になったときの対処法です。

  • プレートに造形物がまったく付かない
  • 最初の数層で全部ダメになる
  • タンク底に薄い膜のような残りがある
  • 途中まで良さそうだったのに、途中で剥がれて落ちる

機種やレジン、室温で最適な設定は変わります。この記事では「確認の順番」と「よく効く対処」を重視します。
艦船模型を例に説明しますが、フィギュア・メカ・建築模型など他の模型でも同じ考え方で使えます。

1. 「何も付かない」を3つの状態に分けて考える

同じ「密着ゼロ」でも、失敗したあとに何が残っているかで、原因の候補が変わります。まずは状態を確認します。

A:タンク底に「薄い膜」が残る

露光自体は起きていますが、プレートに定着できず剥がれていることが多いです。

B:タンク底に「ほぼ何も残らない」

露光不足、設定ミス、データの問題、Zの動作や原点まわりの問題などが考えられます。

C:最初は付いたのに、途中で剥がれて落ちる

初期層は付いていますが、途中で剥がれたり層が分かれたりして失敗している可能性があります。

2. 先にやる「安全のためのチェック」(フィルムを守る)

密着ゼロのときは、次の印刷を急ぐより先に、タンク内に落下物がないか確認するのが大切です。

落下した疑いがあるなら、レジンを一度ろ過します

造形物や硬化片がタンク内に残ったまま動かすと、FEP(または同等フィルム)を傷めやすく、交換が必要になることがあります。

  • いったん印刷を止めます
  • レジンをフィルターでろ過して、落下物・硬化片を回収します
  • タンク底(フィルム面)を点検します(傷・白濁・凹み)

実戦メモ:FEP(または同等フィルム)は予備を用意しておくと安心です。すぐに手に入らない時があり、復旧が止まります。

実は上は私の事例です。剥離があったにも関わらず、いつものように成長が止まっただけかと思いレジンを確かめずに次のプリントに入ったところ、一番下まで降りずにエラー!不思議に思いつつレジンをろ過してみると落下物が!
FEPフィルムにも傷が入っていたので交換。余分な費用とえらい手間がかかりました。

以来、3Dプリントするたびにろ過して確認するようにしています。多少手間がかかりますがフィルム交換よりましです。

3. 原因を探すチェック手順(効きやすい順)

ここからは、失敗を直しやすい順に並べます。上から順番に確認するのが最短です。


3-1. プレートが汚れていないか(最優先)

一番多いのは、プレート表面の油分や皮膜が原因で、初期層が定着しないケースです。

すること

  • プレートを外して洗浄し、IPAなどでしっかり脱脂します
  • 拭き取り後は、完全に乾燥させます
  • 指で触った場合は、触った部分をもう一度脱脂します

よくある疑問:プレートは少し傷があった方がいい?

軽い足付け(ごく浅い凹凸)が良い方向に働く場合はあります。
ただし、深い傷や段差があると、初期層が均一に当たらず、剥がれやすくなることがあります。

おすすめは、まず 脱脂・水平・初期層の設定を優先し、それでも安定しない場合に、最小限の足付けを検討する順番です。


3-2. 初期層の設定(Bottom/Initial)を見直す

A「薄い膜が残る」のときに特に多い原因です。初期層が弱いと、プレートに定着できません。

すること

  • 初期層の露光時間を少しずつ長くします(上げ幅は小さく)
  • 初期層の枚数は増やしすぎないようにします(増やしすぎると剥がしにくくなります)
  • まずは「初期層が安定して付く」状態を作ります

よくある疑問:レジンの種類で露光時間は変わる?

変わります。
水洗いレジン、標準レジン、ABS-likeレジンなどで、硬化の特性や粘度が違います。
そのため、同じプリンターでも最適な露光は変わります。

おすすめは、メーカー推奨(またはコミュニティでよく使われている標準値)を起点にし、テストで少しずつ調整する方法です。


3-3. 面積が大きすぎないか(向きの見直し)

C「途中で剥がれる」や、A「膜が残る」で、面積が大きい形状のときに起きやすいです。
面積が一気に増えると、剥がすときの負荷が増えて失敗しやすくなります。

すること

  • 斜めに配置して、面積が急に増えないようにします
  • 中空形状なら、排液穴(ベント)を設けます
  • 薄板や箱形状は、面積が増えるタイミングをゆるやかにします

※この考え方は艦船模型だけでなく、フィギュアの台座やメカの装甲板など、他の模型にもそのまま応用できます。


3-4. サポートが細すぎないか/本数が足りているか

「ラフト(四角い土台)だけできて、その上が育たない」失敗では、サポートが弱いことがよくあります。
サポートが細い・本数が少ない・接点が小さいと、途中で外れてタンク側に薄い膜として残ることがあります(薄いと気づきにくいです)。

すること

  • サポート先端(接点)を少し太くします
  • 支える場所を増やすために、本数を少し増やします(特に背が高い部分や角)
  • 形状が板に近い場合は、面積が急に増える場所を重点的に支えます
  • 同じ形状が端の配置で失敗しやすい場合は、中央寄りに配置します
Resin 3D print failure where the raft/base formed but the part stopped growing afterward, leaving multiple flat bases on the build plate and incomplete supported pieces.

ラフト(四角い土台)まではできたのに、その上が成長しなかった失敗例。リフト条件やサポート強度が合っていないと、上の層が定着せず止まることがあります。

こんな時はサポートを疑います

タンク底に薄い膜ができていた可能性がある(薄くて気づかないこともあります)

ラフトは残るのに、上が途中で止まる/育たない

失敗したパーツだけが止まり、周りは成功している

3-5. リフト(持ち上げ)の動きが荒くないか

露光が足りていても、リフト速度が速すぎると剥がれやすくなります。

すること

  • リフト速度を下げます(特に初期層側)
  • リフト距離を必要以上に増やしません
  • 待機時間(Rest/Delay)がある場合は、少し長めにしてレジンの流れを落ち着かせます

3-6. レベリング(水平出し)を確認する

B「ほぼ何も残らない」や、毎回挙動が不安定な場合に確認します。

すること

  • メーカーの手順に沿って、水平出しをやり直します
  • 紙の抵抗が片側だけ極端に違う場合は、やり直します

3-7. フィルム(FEP等)の傷・白濁を確認する

フィルムが傷んでいると、失敗が増えることがあります。

すること

  • 深い傷、白濁、凹み、たわみがあるか確認します
  • 落下物が疑われるときは必ずろ過して回収します(再掲)
  • 傷みが目立つ場合は交換を検討します

4. 迷わないための「見る項目」だけ一覧

設定を並べすぎると迷いやすいので、重要な項目だけに絞ります。

  • 初期層露光(Bottom/Initial Exposure)
  • 初期層枚数(Bottom/Initial Layers)
  • 通常層露光(Normal Exposure)
  • リフト速度(Lift Speed)
  • リフト距離(Lift Distance)
  • 待機時間(Rest/Delay)
  • 向き(Orientation)/中空なら排液穴(Vent)

5. 実例(艦船模型での考え方)

艦船模型の上部構造物は、薄板・角・小物が多く、サポートも増えやすい形状です。
そのため「脱脂」「初期層」「面積(向き)」の影響が出やすい傾向があります。

ただし、ここで紹介した確認順は、フィギュアの台座やメカの装甲板など、他の模型でも同じです。
まずは汚れと初期層を確認し、次に向きとリフトを調整する、という順番が失敗を減らしやすいです。

まとめ

「プレートに何も付かない(密着ゼロ)」は、
①プレートの汚れ(油分・皮膜)→ ②初期層 → ③面積と向き → ④サポート条件→⑤リフト条件 → ⑥水平出し → ⑦フィルム
の順に確認すると、迷いにくく、復旧も早くなります。艦船模型を例にしましたが、他ジャンルの模型にも同じ考え方で使えます。


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