
Choosing your first 3D printer should start with what you want to create, not with the machine itself.
3Dプリンターについて調べ始めると、多くの記事や動画で「最初の1台はこれがおすすめ」という機種名が挙げられているのを目にします。
確かに、操作が簡単で失敗しにくい機種を勧めるのは間違いではありません。
ただし、その多くは
「何を作りたいのか」よりも
「簡単に使えるかどうか」を基準にしています。
この記事では、
「簡単だからこの機種」ではなく、「何を作りたいか」から逆算する
という視点で、最初の1台の考え方を整理してみます。
3Dプリンターは大きく分けて、FDM方式と光造形(レジン方式)の2種類があります。
最初にこの違いを理解しておくことが、遠回りしないための近道です。
FDM方式は、樹脂フィラメントを溶かして積み重ねていく方式です。
比較的扱いやすく、材料も安価で、サイズの大きなものを作るのに向いています。
一方、光造形(レジン方式)は、液体レジンを光で硬化させて形を作ります。
後処理は必要ですが、非常に高い精度で細かい形状を再現できます。
ここで重要なのは、
「どちらが上か」ではなく「どちらが自分の目的・ゴールに近いか」
という考え方です。
例えば、
・ケースや治具などの実用品を作りたい
・ある程度の大きさが欲しい
・多少の積層跡は気にしない
こうした目的なら、FDM方式はとても合理的です。
実際、FDM方式の3Dプリンターは手軽にできるという最大のメリットがあります。
自分で設計をしなくても、STLを提供してくれるサイトも多く買ってからすぐ何かを造ることが可能です。
はじめての3Dプリンターでこの「手軽さ」は決して侮ることができないメリットであることは確かです。
面倒が先にたって手を動かしにくいということは確実にあるからです。
一方で、
・フィギュアやミニチュア
・スケールモデルの細かいパーツ
・薄肉で繊細な形状
こうしたものを作りたい場合、
FDM方式で精度を追い込むのは、かなりの試行錯誤が必要になります。
FDMだと特に曲面にはほぼ必ず積層痕が残りますが、光造形(レジン方式)であれば
ほぼその問題は解消できます。
いい例になるか分かりませんが

この写真の 駆逐艦雪風は 主砲(砲身を除く)や艦橋、船体はFDMで作っており、機関銃やマスト、電探(レーダー)などは光造形(レジン方式)で作っています。
艦橋や主砲を見ていただくと分かりますが、FDMでも精度を出すのは可能です(ノズル交換などが必要な場合あり、今後の記事に入れていきます)
しかし、機関銃など設計段階で精度を高くしているものは、FDMだと厳しいので光造形(レジン方式)でプリントしました。
この写真の機関銃の砲身の太さは0.4mmです。
”手間がかからない”という理由だけで3Dプリンターの方式を選ぶと、あとから『作りたいものとのズレ』に気づいてしまうこともあるんです
実際に両方を使って感じるのは、
精密なものにこだわって作りたいのであれば、最初から光造形(レジン方式)を選ぶのも十分に合理的
ということです。
実際、私の模型好きな友人には光造形のプリンターのみで3Dプリントを楽しんでいる方もいます。
日用品などを作る目的ではなく模型に特化しているからだそうです。
入門記事では、FDM方式が最初の1台として勧められることが多いですが、
それは「万人向け」という意味であって、
「すべての目的に最適」という意味ではありません。
3Dプリンター選びで大切なのは、
・作りたいもののサイズ
・必要な精度
・後処理を受け入れられるか
・作業環境(匂い・音・設置場所)
こうした条件を、先に自分の中で整理することです。
機種名や価格は、そのあとで考えても遅くありません。
このブログでは、
艦船模型やスケールモデルを題材に、
FDM方式と光造形(レジン方式)をどう使い分けているかを、実体験ベースで記録しています。
次の記事では、
FDM方式と光造形(レジン方式)の違いを、もう少し具体的に整理していく予定です。
なお、現在どのような機材構成で制作しているのかについては、
記事「🚀3D Printer Introduction Guide|3Dプリンター導入ガイド:Bambu Lab & Elegooを使った模型製作の第一歩」でまとめています。
実際の運用例を知りたい方は、あわせて参考にしてください。

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