Fusion360ガイド| ~ロフト作成時の隙間に注意~


Clean lofted hull created from carefully aligned cross sections in Fusion 360, avoiding gaps between surfaces.

Learn how to prevent loft gaps and alignment errors in Fusion 360 when creating ship hull frames

(Fusion360で船体フレームを正確に積み上げるための基礎)

船体モデリングでは、複数の断面フレームを順に作成し、ロフトで船体形状をつなげていく方法が一般的です。しかしこの工程で、断面が“原点や基準線に正しく拘束されていない”と、ロフトした際に ごくわずかな段差や隙間として形状に残ることがあります。

Fusion360では見た目が揃っているように見えても、実際には 0.1〜0.3mm 程度ズレている場合があり、船体のように長い形状ではその影響が大きくなります。


■ なぜ中心ズレが起こると…

あああああっ!また隙間が空いてる!ロフトが一つにがつながらないよ!

ちょっと見せてみ。きっと断面を作るときに、原点からの基準線と“拘束”がちゃんとできてなかったんだよ、ロフトで立体化した時に、わずかに隙間が出ちゃうことがあるんだ。

このまま進めちゃったらどうなるの?

あとで修正できないことはないけど。形状が複雑になっていくにつれて分からなくなるから、できるだけ早くスケッチで修正した方がいいね


正確な断面を作るための基準ルール

● 原点から垂直線と水平線を引く(コンストラクション)

断面を描き始める前に必ず次の2本を原点から引く。

  • 垂直線(船体中心線)
  • 水平線(高さの基準)

《図の説明(文章)》
原点を中心に「十字の補助線」を作り、すべての断面がこの十字を共有することで、中心位置が常に揃う。
※雪風は艦首に基準点にしたのですが考え方は同じ。


Setting vertical and horizontal construction lines from the origin in Fusion 360 to define reference axes for hull cross sections.

XY平面。基準線を破線(コンストラクション)にしておく。この例の場合、原点を船中央の断面と断面図を作ります。

Drawing a hull cross-section constrained to reference axes in Fusion 360 to ensure accurate and gap-free lofting.

点と点をわざと少し離してスケッチ>拘束>一致 で一致拘束した方が確実。一致しているつもりでほんの僅か離れていることが多々ある

● 外形線を基準線に一致拘束する

この例の場合、垂直線の上端は甲板に一致させ、下端は艦底に一致させています。

見た目で合わせただけじゃダメなんだね…。ちゃんと点と点で一致拘束を入れておかないと、見えないズレが残っちゃうんだ…

その通り。Fusion360は“見た目だけ合っている”状態が一番危ないんだ。一致拘束で固定しておかないと、後工程で歪む原因になるんだ


艦の中央の断面を作った今度は艦首側の断面を作ります。構築>オフセット(-15mm)>できたオフセット面で同じように基準点を意識しながら艦の断面をつくります。

Creating an offset construction plane from a reference hull cross section and sketching a new section with the same alignment in Fusion 360.

断面を同じ要領でつくったらそれをつなぐガイドになるレールをつくります。


Drawing guide rails between offset hull cross sections in Fusion 360 to control surface flow during lofting.

プロファイル1とプロファイル2をつなげて、レール1,2,3をガイドレールとしてきれいにロフトが描けました。

Fusion360ガイド| ~ロフト作成時の隙間に注意~

ロフトを作る際の「レール」を引く場合、機能するレールになる為には下記のルールにしたがっていることが必須です。もし条件が未達の場合はエラーがでて「ウキーッツ!なんでエラーがでるんだ?」ってことになってしまいます。

  • ロフトをつなぐ両端の面に必ず接続していること
  • レールの始点と終点はロフトを作るプロファイル面と一致拘束されていること
Smooth hull loft successfully created in Fusion 360 using multiple guide rails to control surface continuity and prevent gaps.

なのでミサイルの先端の様にきれいな曲線を描きたいときにはレールを用いてロフトを作った方がいいと思いますが艦首や艦尾の様に複雑な形状の箇所は断面をつなげていった方が私は楽なように感じています。

● スケッチは必ず「完全拘束」にする

線が黒色=完全拘束。
青い線や黄色い点がある=未拘束で動く可能性がある。

レトリカ
「私、青い線が残ってても“まあ大丈夫かな”って先に進んでました…」

おっちゃん
「船体の断面は全部“黒”にしておくのが鉄則じゃ。未拘束のまま積み重ねると、後で形が繋がらん原因になる」


断面を積み重ねる際のポイント

● 最初の断面(中央断面)を基準線に完全拘束して作る

これを基準断面として扱う。

● 次の断面は「基準線を投影」してから描く

新しいスケッチ平面をオフセットし、投影機能で基準線(垂直・水平)を取り込むことで自動的に中心位置が揃う。

● 船首・船尾は特にズレが出やすい

曲率が急変する部分では一致・対称拘束を丁寧に確認する。


まとめ:原点・基準線・完全拘束が船体精度を左右する

断面がしっかり基準線と拘束で固定されていれば、ロフトした時の形も綺麗に繋がるんだね。なんだか納得できたよ!

そういうことだね。船体モデリングは“見えない誤差を出さない”ための積み重ねだからね。原点と拘束を丁寧に使えば、船体は自然と綺麗な形になるんだ。といっても僕もよくミスっているけどね。僕もまだまだ全然修行中の身だよ


■ 締め

船体モデリングの断面づくりは、地味ですが完成形の精度を大きく左右する重要な工程です。原点の基準線・拘束・完全拘束を徹底することで、ロフト後の形状が安定し、美しい船体を実現できます。
今後の記事で進む船体構築や艤装の工程でも、この基礎が確かな仕上がりに直結していきます。


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