駆逐艦雪風|第2章−1:Fusion360で船体外形を描く(全体像の把握)

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Fusion 360 CAD workspace showing the initial hull design of the 1/150 scale IJN destroyer Yukikaze.

This article explains the basic workflow for outlining the hull shape of the 1/150 scale destroyer Yukikaze using Fusion 360.

船体を正確にモデリングするために必要な
「図面の選定・基準線の設定・断面の作成」
を分かりやすくまとめた“準備編”です。
流れとしては「キャンパス挿入」で図面を取り込み、断面図を描き、ロフトでつなぐことで船体が出来上がります。

1. 図面の選び方🗂️

モデリングの精度は どの図面を使うか で大きく変わります。
今回は、以下の3種類の図面を組み合わせて使っています。

  • 側面図(船体外形の把握)
  • 真俯瞰図(最大幅=ビームの決定)
  • 断面図(フレームライン)

この3つのスケールが揃うことで、正確な船体を作ることができます。

Setting the basic dimensions and scale of the 1/150 IJN destroyer Yukikaze in Fusion 360.

💬 レトリカ&おっちゃんの対話

※このブログでは、シーンによって会話形式を採用しています。

おっちゃん、図面って何をつかったらいいの?

まずは“側面・真俯瞰・断面”の3つがそろってるかどうかだね。それさえ揃えば、Fusionで形や寸法を合わせていけるんだ

でも3つがそろってることなんてほとんどないよ!

一部公開データーがあるものもあるけどほとんどは、側面と真上からの図面があればいいほうだね。でもこの2つがあればなんとかなるよ!


2. キャンパス挿入の基本🖼️

Fusion360で図面をキャンバスとして配置する順番は、次のステップに分けています。

  1. 側面図を配置(基準)
  2. 真俯瞰図を配置(幅と中心線を合わせる)
  3. キャンパスを動かして基準点にそろえる
  4. 基準点を起点に縮尺をそろえる
  5. 断面図を基準点から作っていく

これらを正確に揃えることで
“ロフトで破綻しない船体” が作れます。

基準点とは、側面図と真俯瞰図の位置を揃えるための「起点」となる点です。
例えば、どこか具体的な位置を基準にする場合は、その場所を。
艦首の先端を基準にする場合は、側面図・真俯瞰図ともに
艦首位置を同じ座標に合わせて配置します。

そのうえで、次に重要になるのがキャンバスのスケール設定です。

Fusion360で図面をキャンバスとして配置する際に、最も重要なのは
「側面図と真俯瞰図を、同じ実寸スケールで正確に揃えること」です。

本建造記録では、駆逐艦「雪風」の全長 118.5m を基準寸法とします。
1/150スケールでは、船体全長は 790mm となります。

まず側面図キャンバスを配置し、船首から船尾までの長さが
790mm になるようにスケール調整を行います。
次に、真俯瞰図についても同様に船体全長を 790mm に合わせます。

この段階で、
・側面図
・真俯瞰図

船首位置・船尾位置・全長寸法 が完全に一致している必要があります。

この基準寸法が揃っていない状態で断面作成やロフトを進めると、
最終的に船体形状が破綻する原因となるため、
キャンバス設定の段階で必ず数値による確認を行います。


Creating hull reference sketches for the 1/150 scale IJN destroyer Yukikaze in Fusion 360.

📏 3. 雪風の船体ラインの決め方(実際の作業フロー)

ここから先は、実際に行った Fusion360 での外形作成手順です。
中央甲板と船底を基準に高さを決め、真俯瞰図で船幅を確定し、
25枚の断面をロフトで繋ぐ という流れになっています。

● 基準線は「中央甲板」と「船底」

雪風の船体はまず
中央甲板(水平ライン)船底ライン
の2つを基準として固定します。

  • 中央甲板:船体の“高さ”の基準になるライン
  • 船底ライン:ロフトで繋ぐときの最下点の基準

この2本がズレると船体全体が歪むため、
最初にもっとも丁寧に揃えるポイントです。

● 真俯瞰図で「最大幅」を確定する

真俯瞰図(上から見た図)を元に、中央部の最大幅(ビーム)を決めます。
船体の“横方向の正確さ”を決める重要工程です。

ここで幅をしっかり合わせておくと、
後で断面図を描くときに迷いが少なくなります。

Top view hull outline of the 1/150 scale IJN destroyer Yukikaze, defining the overall beam width in Fusion 360.

上から見た図って、つい軽く見ちゃうけど、幅を決めるには超重要なんだね!

そうそう。ここでビシッと幅を決めておくと、断面スケッチもズレずに描けるんだよ

ここで気を付けることってないの?

Checking centerline alignment of the hull sketch for the 1/150 scale IJN destroyer Yukikaze in Fusion 360.

艦の真正面から見て中央の線がぴったりあっていること。どっちかにずれているとミラーで反転させたときに空間ができちゃうんだ

● 25層の断面をロフトで繋いで外形を出す

雪風の船体は 25枚の断面スケッチ を用意し、
それらをロフトで繋げて外形を作っています。

この方法のメリット:

  • 船体の歪みが出にくい
  • 艦首や艦尾の細い絞りも正しく再現できる
  • 分割してもパーツ同士が正確に合う

特に艦首・艦尾はカーブがきつくなるので、
断面をケチらずこまめに入れておくと仕上がりが安定します。

Hull shape distortion caused by lofting all sections at once in Fusion 360 during the 1/150 scale IJN destroyer Yukikaze design.

一応つながったけど、途中がくぼんでたり真ん中が膨らんだりしてる

ロフトで全部を一気につなげてしまうと前の曲線の影響をうけるんだ。断面を微調整したり、分割してロフトをすると整ってくるよ


4. 外形づくりの全体フロー⚙️

Fusion360での船体設計は、次の順番で進めると安定します。

  1. 中央甲板・船底ラインを決める
  2. 側面図と真俯瞰図のスケール合わせ
  3. 断面図を基準点から順に並べる
  4. ロフトで船体外板ラインを構築
  5. 分割の下準備へ進む

この“下ごしらえ”が終わってしまえば、
あとは細部ディテールを積み上げていくフェーズに入っていきます。


🚢 第1章−3 へつづく!

次回は

  • 断面図を描くときの具体的なポイント
  • ミラーによる船体作成
  • 船体外板の厚み設定と分割の考え方
    に進んでいきます。

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