
― 湿気で起きる不具合と、家庭でできる保管方法
This article shows the simplest, repeatable way to keep your filament dry.
この記事で分かること
- まずは「ジップロック+乾燥剤」で十分(最小コスト)
- 長期保存は「密閉容器+湿度管理」で安定します
- 吸湿した時の復旧(乾燥)も手順をまとめます
はじめに:FDMの不調は「保存」で改善する場合があります
FDM方式の3Dプリンターでは、印刷設定をいくら調整しても直りにくい不調が、実はフィラメントの吸湿(湿気)に原因があることがあります。
特に季節や部屋の湿度が変わると、同じ設定でも結果が安定しなくなることがあります。
実際、私がこの1年を振り返って、FDM 3Dプリンターで起きたトラブルの大半はフィラメントの吸湿に起因したトラブルといっても過言ではありません。
この記事では、特定メーカーや製品の推奨ではなく、家庭でできる現実的な保存方法を中心に整理します。
1. フィラメントが湿気ると起きやすい不具合
吸湿の影響は、見た目の変化として現れることも多いです。
よくある症状
- ノズルから「パチパチ」「ジュッ」という音がする
- 折れやすくなる
- 表面がザラつく/ブツブツが出る
- フィラメント同士の付着から絡まりやすくなる(ように感じる)
- 糸引きが増える
- 層が弱くなる(割れやすい)
- 供給が不安定になる(自動供給装置を使う場合も含む)
これらは必ずしも吸湿だけが原因とは限りませんが、保存状態を見直す価値が高いサインです。
2. 吸湿しやすさは材料で違います(目安)
材料によって、湿気の影響の出やすさに差があります。
- PLA:環境によって影響が出ます。長期保管で差が出やすいです。
- PETG:糸引きや表面に影響が出やすい傾向があります。折れやすくなりパチパチ言い始めます。
- TPU:湿気の影響が出やすい材料です。
- ナイロン系:特に影響が出やすく、乾燥が重要になりやすいです。
※実際の影響は、メーカー・配合・保管環境によって変わります。
3. 保存方法は「安い順」に段階を上げるのが現実的です
保存は、いきなり高価な機材から入らなくても大丈夫です。
基本は 密閉+乾燥剤 で、必要に応じて手段を増やします。
3-1. まずは密閉(袋・容器)+乾燥剤
もっとも手軽で、効果も出やすい方法です。
- ジッパーバッグや密閉容器に入れる
- 乾燥剤(シリカゲル等)を一緒に入れる
- 開封後は「出しっぱなし」を避ける
この段階だけでも、安定するケースは多いです。
※私も一度開けたフィラメントはジップロック乾燥剤と一緒にいれて保管していました。
▶ジップロック(ジッパーバッグ)で保管する手順
必要なもの:ジップロック/乾燥剤(シリカゲル)/湿度カード(または小型湿度計)
手順:
- フィラメントを入れる
- 乾燥剤を入れる(100円ショップで湿気を含むと色が変わる乾燥剤がたくさんあります)
- できるだけ空気を抜いて密封
- 湿度カードで状態確認(あれば便利な程度)
注意:袋が薄いと破れやすい/角が尖ったスプールは要注意
乾燥剤:青→ピンクのタイプだと何色になったら湿気を含んでいるから交換又は再生できるタイプだと再乾燥かを把握しておきましょう。
3-2. 乾燥剤は「入れっぱなし」ではなく管理する
乾燥剤は吸湿すると効果が落ちます。
交換・再生の目安を決めておくと運用しやすくなります。
- 交換時期を決める(例:月1、季節の変わり目など)
- 色で状態が分かるタイプを使う(管理が楽です)
※湿度カード(湿度インジケーター)を入れると“管理が楽”になります
湿度カード(湿度インジケーター)は、袋や密閉容器の中の湿度を色で確認できる小さなカードです。
乾燥剤を入れていても「効いているのか」「交換タイミングはいつか」が分からないと運用が続きませんが、湿度カードがあると“いま乾いているか”を目視で判断できます。
使い方は簡単で、ジップロックや密閉容器に乾燥剤と一緒に入れるだけです。フィラメントの出し入れが多い人ほど、感覚よりも表示で管理した方が失敗が減ります。
※湿度カードは種類がありますが、まずは30〜40%あたりが読めるものがあると目安にしやすいです(細かい数字にこだわりすぎなくてOK)。

質の悪いものも多くあるようです。少々価格差があっても評判を見て購入した方がいいです。
3-3. ドライボックス(保管と供給をまとめたい場合)
複数スプールを使う方や、多色印刷をする方は、
保管と供給をまとめられるドライボックスが便利な場合があります。
ただし、製品によって構造や密閉性が異なるため、
「湿度を下げられるか」「供給がスムーズか」は用途に合わせて選ぶのが安全です。
3-4. 乾燥機(再乾燥したい場合)
すでに湿気を吸った可能性がある場合は、乾燥機が選択肢になります。
ただし、乾燥機は万能ではなく、
- 乾燥時間
- 温度管理
- 材料による適正
など、条件が関わるため、基本はメーカー推奨や製品の注意事項に従うのが安全です。
因みに私が使用している乾燥機はこれ

eSUN製のフィラメントドライヤーボックスです。一度吸湿したフィラメントは乾燥して使用した方がトラブル回避の観点や造形物の出来上がりの品質的観点から安心です。
吸湿したフィラメントは熱を加えることが手っ取り早い乾燥方法になります。
こちらの乾燥機は比較的安価でPLA、PETG、ABS、Nylonなど様々なフィラメントの乾燥が可能です。
4. 自分に合う保存方法を選ぶ目安
保存方法は、次の条件で決めると後悔しにくいです。
- 印刷頻度(毎週使う/月1程度)
- 使う材料(PLA中心/PETG・TPUが多い)
- 置き場所の湿度(部屋・季節)
- スプールの本数(1〜2本/複数運用)
最初は「密閉+乾燥剤」から始めて、
必要に応じてドライボックスや乾燥機を検討する流れが現実的です。

eSUN製の真空収納キット
先ほどは、ジップロックを使っていたと書きましたが、すぐに使わない場合は真空包装した方がより吸湿を防ぐことができます。
空気中の水分を吸ってしまうためです。こちらもeSUN製の真空収納キットでバックの他に乾燥剤とUSBポンプがついています。
5. 模型のFDM印刷でも「保存の差」が出ます
私の場合、艦船模型(他の模型にも応用できます)のFDM印刷では、
同じ設定でもフィラメントの状態によって、
- 表面の荒れ
- 糸引き
- 積層の強さ
が変わることがありました。
設定の前に保存状態を整えることで、結果が安定しやすくなります。
特にPETGについては、吸湿が原因で起こった2次トラブルでずいぶんと手間と時間がかかってしまったことが
あり、新品以外は使用前に必ず乾燥を入れています。PETGなど吸湿が影響するタイプのフィラメントは特に注意!
まとめ
- FDMの不調は、設定だけでなく「吸湿」が関係することがあります
- まずは 密閉+乾燥剤 が最も手軽で効果的です
- 必要に応じて、ドライボックスや乾燥機を検討すると無理がありません
- 保存を整えると、トラブル記事の対処もスムーズになります

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