この記事の適用範囲
この記事では、Bambu Studioで一層目が密着しない、部分的に定着しない、角だけ浮く、波打つといった症状を分けて、確認する順番と設定変更の考え方を実例ベースでまとめています。
PLAを中心に説明しますが、PETG/TPUでも「確認する順番」は同じです。
記載していることは3Dプリントで作る作品全般に応用できる考え方です。
SHIPYARD & SOULSHIPは、3Dプリンターを使った模型製作・ディスプレイ用品づくり・トラブル対策を実例で紹介するブログです。
一層目の症状を先に分けます(密着しない・部分的に定着しない・波打つ)
一層目の不具合は、まず「どのタイプか」を言葉で定義すると迷いにくくなります。
原因を一覧でまとめました。
表の上から順にみていくといいと思います。
原因一覧表
| 症状 | まず疑う原因 | 最初に見る場所 |
|---|---|---|
| 全体が密着しない | プレート汚れ・速度・温度 | プレート清掃 → 一層目速度 |
| 一部だけ定着しない | 底面の浮き・局所的な汚れ | 設計確認 → プレート清掃 |
| 端だけ浮く | 反り・冷却・接地面不足 | ブリム・温度・冷却 |
| 波打つ・潰れる | 層高・流量・押しつぶし | 層高・ライン幅・流量 |
| 線が細い・途切れる | 速度・ライン幅・押し出し不良 | 速度 → ライン幅 → ノズル確認 |
Bambu Studio側の設定だけ確認したい場合は、「2)Bambu Studioで確認する一層目設定」から見ても大丈夫です。
ただし、部分的に密着しない場合は、先に設計とプレート状態を確認するのがおすすめです。
0)最初に確認:設計上の問題(部分的に密着しない原因になる)
「部分的に密着しない」ときは、設定より先に設計を確認する価値があります。
底面が同一平面になっているか
自分で設計した場合、「同じ平面に置いたつもり」でも、設計上の拘束が不十分でモデルがわずかに浮いていると、その部分だけ一層目が定着しません。
スライサー側で調整する前に、CAD側で底面が同一平面になっているか、面の拘束が完了しているかを確認します。
底面の角が鋭すぎないか(長い形状は特に)
角が鋭い形状は、冷えるときの収縮で端部が浮きやすくなります。
必要に応じて、底面外周に小さなフィレットを入れるなど、形状で改善できることがあります。
また、同じモデルでも印刷の向きによって、接地面の広さや反りやすさが変わります。
底面をどこにするか迷う場合は、こちらの記事も参考になります。
→ FDMの「印刷の向き」の決め方:密着不良・崩れ・反り・剥がれ・糸引きを減らすルール
1)プレート側を整えます(真っ先に確認)
一層目は、プレートの状態で結果が大きく変わります。
清掃(油分・汚れを落とす)
プレート表面に指の油分や汚れがあると、密着しにくくなります。
まずはプレートを中性洗剤などで清掃し、乾いた状態で印刷します。
たまにIPで洗浄する話もありますが、中性洗剤がもっとも効果的です。
洗浄や日常点検を含めて見直したい場合は、こちらの記事にまとめています。
→ Bambu Lab 3Dプリンターを安定して使うための基本メンテナンス
ふき取りにはキムワイプのおすすめ
繰り返しになりますが、プレート清掃は特別な道具よりも、中性洗剤で油分を落とすことが大切です。
ふき取りには、繊維が残りにくいキムワイプを使っています。
ティッシュやキッチンペーパーでも代用できますが、紙繊維が残ることがあります。
スティックのりの使用(0.2mmノズルで特に有効)
0.2mmノズルは、吐出量が少なく、ラインが細くなりやすいため、密着の条件がシビアになります。
そのため、設定を大きく変えなくても、スティックのり等を薄く塗るだけで改善します。
- 塗り方の目安:必要な範囲に薄く均一に(厚塗りは避ける)
- 目的:密着を強める/一層目の安定を上げる(特に細いラインや小面積で有効)
※付けすぎに注意。少なくとも2-3回に1度は中性洗剤でふき取って下さい。
私は最初糊を塗ったままにして糊の層を作ってしまいました。
私はのりは下のPIT シワなしを使用しています。スティックのりなら代用可能だと思いますが、綺麗に貼れて
キレイに剥がれるのりが有効です。

2)Bambu Studioで確認する一層目設定(操作のポイント)
プレート清掃をしても一層目が安定しない場合は、Bambu Studio側の設定を確認します。
まず見るのは、一層目速度、層高、ライン幅、ベッド温度です。
特に一層目速度は効果が出やすいので、最初に確認します。

一層目速度の変更例。クリックすると大きくなります
A)一層目速度(遅くするほど安定しやすい)
一層目がはがれる、線が途切れる場合は、一層目の速度が速すぎることがあります。
まずは一層目の速度を見直します。
とても大事なので一覧表にしてまとめました。
| 項目 | 見直し例 |
|---|---|
| 一層目速度 | まず半分程度まで下げて確認 |
| 一層目インフィル速度 | 外周と同じく下げる |
| 0.2mmノズル | 速度を落とし、必要ならのりを併用 |
B)一層目の層高(0.2mmノズルは特に注意)
ノズル径に対して層高やライン幅が適切でないと、線が安定しません。
0.2mmノズルでは、条件がシビアになりやすいので、一層目の層高は無理のない範囲にします。
0.2mmノズルを使う場合は、一層目だけでなく全体の層厚も仕上がりと時間に影響します。
層厚ごとの見た目と印刷時間の違いはこちらで比較しています。
→ 実証!FDMの層厚変化で見た目と時間はどう変わる?0.20mm・0.16mm・0.12mm・0.08mmを比較検証
C)一層目のライン幅(線が細すぎると定着が弱くなります)
一層目が定着しない場合は、ライン幅が細すぎることがあります。
一層目だけライン幅を見直すと改善することがあります。
D)ベッド温度(低いと密着が弱くなる場合があります)
室温が低いと、密着が弱くなりやすいです。
ベッド温度は、素材に合わせて適切な範囲にします。
E)流量(必要な場合のみ)
線が明らかに細い/欠ける場合は流量が関係していることがありますが、むやみに上げると潰れや表面荒れにつながります。
まずは速度や層高、ライン幅、温度を優先します。
なお、流量を上げても線が細い、途中で欠ける、押し出しが不安定な場合は、設定ではなくノズル詰まりや押し出し不良の可能性もあります。
その場合は、こちらの記事でノズル・フィラメント経路を確認してください。
→ Bambu Lab 3Dプリンターのノズル詰まり・押し出し不良の対処法まとめ
▶Bambu Studioでプレート温度や冷却条件を変更する方法
Bambu Studioで速度やトップ面パターンを変える箇所はすぐに見つかると思いますが、ベッド温度や冷却条件を(ファンを3層目まで止めないなど)はどこからするのか分かりにくいかと思います。
それはフィラメント横の(…)をクリックして編集すれば変更することが可能です。
しかも、フィラメントごとに変更可能な優れものです。
一層目が剝がれやすい時に冷却ファンの最大値を下げる、又は3層目まで0にするなどの設定変更が可能です。

変更例)クリックすると大きくなります。
プレートに関しての応用(スムースPEI系プレート)
小物の一層目が安定しない場合は、スムースPEI系プレートを試す選択肢もあります。
ただし、まずは清掃・一層目速度・ベッド温度を確認してからで十分です。
👉スムースPEI系プレートを選ぶときは、対応機種とプレートサイズを必ず確認してください。
3) フィラメントの状態を確認する
フィラメントの吸湿(湿気を吸った状態)が原因の場合もあります。
対処方法はこちらの記事に紹介しています。
フィラメントが折れる原因は湿気|9割の人がやってる保存ミスと対策
フィラメント乾燥の温度と時間の目安|PLA・PETG・TPUを素材別に整理
症状別:原因と対処まとめ
1)全体が密着しない
- プレートの汚れ・油分 → 清掃
- 速度が高い → 一層目速度を下げる
- ベッド温度が低い/室温が低い → 温度を見直す
- 0.2mmノズルで不安定 → のりを薄く塗って確認
角だけが浮く、長い形状の端がめくれる場合は、一層目だけでなく反りの影響も考えられます。
その場合は、ブリム・冷却・ベッド温度をまとめて見直すこちらの記事も参考にしてください。
→ Bambu Studio 反り対策|ブリム・冷却・ベッド温度・設計で端の浮きを止める
2)部分的に密着しない
- 設計でわずかに浮いている → 底面の同一平面を確認
- プレートの局所的な汚れ → 清掃
- ライン幅が細すぎる → 一層目ライン幅を見直す
- 0.2mmノズルで線が途切れやすい → のり併用+一層目速度の見直し
3)潰れすぎ/波打つ
- 一層目が押しつぶされている → 一層目設定(層高・流量)の見直し
- 速度や温度の組み合わせ → 一層目速度、ベッド温度の再確認
参考:設定条件
- プリンター:Bambu Lab(A1 / A1 mini想定)
- スライサー:Bambu Studio
- 素材:PLA(PETG/TPUでも考え方は同じ)ただTPUは特に速度を遅くする価値があります。
- ノズル:0.4mm / 0.2mm
- プレート:テクスチャPEIプレート/スムースPEIプレートなど
- 室温:低いと密着しにくくなる場合があります。室内に風が入る環境も注意
プリンターの基本メンテナンスはこちらの記事を参考にして下さい。
Bambu Lab 3Dプリンターを安定して使うための基本メンテナンス

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