
Drying conditions vary by filament type, and using the right temperature and time helps reduce print failures.
フィラメントの乾燥条件は、素材ごとに分けて考えるのが基本です。
PLA・PETG・TPUで迷いやすい温度と時間の目安を具体的な数字で整理します。
はじめに
3Dプリンターで印刷が不安定なとき、まずノズルやスライサー設定を疑いたくなります。ですが、実際にはフィラメントが湿気を吸っていることが原因になっている場合も少なくありません。
特に、糸引きが増えた、印刷中にパチパチ音がする、表面が荒れる、細い部分が弱くなるといった症状は、乾燥不足と関係していることがあります。
この記事では、FDMでよく使われるPLA・PETG・TPUを中心に、フィラメント乾燥の温度と時間の目安を素材別に整理します。
保存方法そのものではなく、どのくらいの温度で、どのくらいの時間乾燥するかに絞って確認したい方に向けた内容です。
フィラメント乾燥はなぜ必要なのか
フィラメントは種類によって空気中の水分を吸いやすく、吸湿が進むと印刷品質に影響が出ます。
よくある変化は次のようなものです。
- 印刷中にパチパチ、プツプツとした音が出る
- 糸引きが増える
- 表面がざらつく
- 積層が不安定になる
- 細い形状で欠けやすくなる、折れやすくなる
もちろん、これらの症状が出たからといって、必ずしも原因が湿気とは限りません。
ただし、フィラメントの状態を整えることは、設定調整の前に確認しやすい基本項目です。特に模型パーツのように細い部分や表面の見た目を重視する印刷では、他の模型にも応用できる基本として押さえておきたいところです。
乾燥温度と時間の目安一覧
まずは目安を一覧で整理します。
PLA・PETG・TPUの乾燥目安
| 素材 | 乾燥温度の目安 | 乾燥時間の目安 | 補足 |
|---|---|---|---|
| PLA | 40~50℃ | 4~6時間 | 高温にしすぎると変形しやすいです |
| PETG | 55~65℃ | 4~6時間 | 糸引きや表面荒れ対策として確認しやすい素材です |
| TPU | 40~50℃ | 4~6時間 | 柔らかいため、乾燥不足で挙動が不安定になりやすいです |
※上記は一般的な目安です。最終的にはフィラメントメーカーの推奨値を優先してください。
※乾燥機の実際の庫内温度は表示とずれることがあるため、最初は高温側に振りすぎない方が安全です。
PLAの乾燥温度と時間の目安

私は、Tinmorry、e SUN 、Elegooのフィラメントを好んで使っています。一番多いのはTinmorryの気がします。積層が気になる場合はマットをお勧めします。
PLAは扱いやすい素材ですが、保管状態によっては湿気の影響を受けます。
PLAの目安
- 温度の目安:40~50℃
- 時間の目安:4~6時間
PLAで注意したいのは、乾燥温度を上げすぎないことです。
PLAは比較的熱に弱く、条件によっては軟化や変形につながることがあります。乾燥を急ぎたいからといって高温にすると、かえってトラブルの原因になります。
こんなときは乾燥を検討しやすいです。
- 以前より糸引きが増えた
- 印刷中の音が気になる
- 表面の乱れが増えた
- 長く出しっぱなしにしていた
PLAは「そこまで吸湿しない」と言われることもありますが、使う環境や保管状態によって差が出ます。
印刷条件だけを見直しても改善しないときは、フィラメントの状態も確認した方が早いことがあります。
PETGの乾燥温度と時間の目安

主にe SUNのPETGを購入していますが、SUNLUも気になっています。
PETGは強度や使いやすさのバランスがよく、実用品から模型補助パーツまで幅広く使いやすい素材です。一方で、吸湿した状態では糸引きや表面の乱れが目立ちやすくなります。
PETGの目安
- 温度の目安:55~65℃
- 時間の目安:4~6時間
PETGで確認しやすい症状は次の通りです。
- 糸引きが増えた
- 表面が落ち着かない
- 角や細部がだれたように見える
- 押し出しが安定しないように感じる
PETGは設定項目が多く、温度や速度、冷却との兼ね合いでも見た目が変わります。
そのため、すぐにスライサー設定だけで解決しようとせず、まず乾燥状態を整えてから再確認する流れの方が、原因の切り分けがしやすくなります。
TPUの乾燥温度と時間の目安

私はTPUはTINMORRYを買うことが多いです。安いので。今のところ問題はなくプリントできており不満はありません。
TPUは柔らかく、クッションや滑り止めなどにも使いやすい素材です。ただし、吸湿の影響が出ると印刷の安定性が落ちやすく、材料送りや見た目に差が出やすくなります。
TPUの目安
- 温度の目安:40~50℃
- 時間の目安:4~6時間
TPUでは次のような変化が出ることがあります。
- 糸引きが増える
- 形が落ち着かない
- 表面が荒れる
- 送りが不安定に感じる
TPUは素材自体が柔らかいため、湿気以外にも印刷速度や送り条件の影響を受けます。
ただ、乾燥不足のまま調整を続けても判断しにくくなるため、まず乾燥して基準の状態を作ることが大切です。
乾燥時間は長ければ長いほど良いわけではない
乾燥が必要と聞くと、できるだけ長く入れておけば安心だと思いがちです。ですが、実際にはそう単純ではありません。
重要なのは、素材に合った温度と時間で行うことです。
- 温度が高すぎるとフィラメントが変形することがある
- 必要以上に長時間続けても改善が大きく変わらないことがある
- 乾燥後の保管が悪いと、また吸湿しやすい
特にPLAは熱に弱いため、温度設定を慎重にした方が安全です。
一方で、乾燥後にそのまま机の上へ置いておくと、再び湿気を吸いやすくなります。乾燥だけで終わりにせず、その後の保管までセットで考えることが大切です。
乾燥しても改善しないときに確認したいこと
乾燥しても印刷が安定しない場合は、原因が別にある可能性があります。
確認しやすいポイントは次の通りです。
1. ノズルや押し出し系の状態
ノズル詰まり、押し出し不良、フィラメント経路の抵抗などがあると、乾燥では改善しません。
2. スライサー設定
印刷温度、速度、冷却、リトラクション相当の設定バランスが崩れていると、糸引きや表面荒れが出ることがあります。
3. フィラメント自体の状態
古いフィラメントや、長期間不安定な環境に置かれていたフィラメントは、乾燥しても完全には戻らない場合があります。
4. 乾燥条件そのもの
温度が低すぎる、時間が短すぎる、乾燥機の実温度が不足していると、十分に乾いていないことがあります。
乾燥は有効な基本対策ですが、すべての不具合を単独で解決するものではありません。
だからこそ、乾燥で基準の状態を作ってから、他の条件を順番に確認する流れが大切です。
乾燥方法を選ぶときの考え方
フィラメント乾燥の手段はいくつかありますが、最初に大切なのは「安全に温度管理しやすい方法を選ぶこと」です。
たとえば次のような考え方になります。
専用フィラメントドライヤー
温度管理がしやすく、日常的に使いやすい方法です。
印刷しながら使えるタイプは、湿気を戻しにくい点でも便利です。
因みに私は下記のeSUNの乾燥機を使用しています。

※本記事では製品の推奨や評価を目的としたものではありません。
食品乾燥機
サイズ、温度設定の相性が合えば使いやすい方法の一つかも知れません。
サイズや温度のばらつきは機種差があります。
奥さんに怒られた際には当方は関知しませんので、事前に説明をしておくなど自己責任でお願いしますね。
追記
食品乾燥機は一般家庭で広く普及している家電という印象はあまりありませんが、ドライフルーツや干し野菜、ペット用おやつ作りなどの用途で使われています。フィラメント乾燥では、本来の用途とは異なる代替手段として話題にされることがあります。
簡易的な保管箱+乾燥剤
すでにしっかり乾いているフィラメントの維持には向いていますが、強く吸湿したフィラメントの回復用途としてはあまり効果はありません。
どの素材から気にすればよいか
初心者の方が最初に全部を細かく覚える必要はありません。
まずは、自分がよく使う素材から確認すれば十分です。
- PLAをよく使うなら、低めの温度で安全に乾燥する
- PETGをよく使うなら、糸引きや表面荒れとの関係を見る
- TPUをよく使うなら、乾燥前後で安定性の変化を見る
まとめ
フィラメント乾燥の目安は、素材ごとに分けて考えるのが基本です。
PLA・PETG・TPUの目安をもう一度整理すると、次の通りです。
- PLA:40~50℃で4~6時間
- PETG:55~65℃で4~6時間
- TPU:40~50℃で4~6時間
印刷トラブルが出たとき、設定変更だけで解決しようとすると遠回りになることがあります。
まずフィラメントの乾燥状態を整え、それでも改善しない場合にノズルや設定へ進む方が、原因を順番に確認しやすくなります。
フィラメント乾燥は地味ですが、印刷品質を安定させるための基本です。
とくに表面の見た目や細い形状を大事にしたい場合は、最初に見直す価値があります。

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