3Dプリンター用フィラメントはPLA・PETG・TPUでほぼOK:選び方とTPU初回テスト手順

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PLA PETG TPU filament selection guide for home FDM 3D printing

This guide assumes hobby and home use, and focuses on PLA, PETG, and TPU.

  • 家庭内・趣味のFDM用途なら、まずは PLA / PETG / TPU の3本柱で大半カバーできます。
  • 例外は 「屋外(耐UV)」「高温」「耐摩耗・摺動」 の3条件が出たときです。
  • TPUは「到着前の準備 → 初回テスト手順」までテンプレ化して、結果欄に数値を入れる運用にします。

私も、A1購入前にはABSやASAは使うのだろうかと考えたものでした。が、今のところPLAで十分満足しています。強度が必要であればPETG、ゴム系素材が必要であればTPUとこの3つのフィラメントがあれば事足りています。


この記事の前提

本記事は、趣味・家庭内でのFDM印刷(模型、小物、治具、軽い機能部品など)を前提にしています。
屋外常設や高温環境、産業用途の高負荷部品を狙う場合は、後半の「例外条件」を参考にしてください。


結論:まずは3本柱でほとんどはOK!

PLA:基本の1本(精度・手軽さ・見た目)

向いているもの:模型パーツ、試作、治具、ディスプレイ、小物全般
メリット:反りにくい、造形が安定しやすい、細かい形が出やすい
注意点:熱に弱い(真夏の車内放置など)/衝撃で欠けやすい場合があります

「まず失敗しない基準」を作るならPLAが最短です。

PETG:PLAの次に選ぶ1本(粘り・耐久・少し耐熱)

向いているもの:割れやすい形状、ネジ周り、軽い機能部品、落下で欠けたくない部品
メリット:粘りが出やすく割れにくい、PLAより耐熱寄りになりやすい。私はラジコンの船体をPETGで作っていますが、80℃くらいまで耐えられれば十分とするとPLAだと危険、PETGだとOKということです。
※ラジコン仲間では夏の炎天下でPLAの船体が曲がったという話はよく聞きます。

注意点:糸引きしやすい/角がだれやすい(細かい造形はPLAが得意なことが多い)

これまでPETGを使って一番苦労したところは、サポート材を外すのが一苦労!ってところでした。
PETGで作る場合、設計段階でサポートをなるべく減らす工夫。あるいはサポートが取り除きやすい位置につける
ことを心がけてください。

「PLAで割れる・欠ける」なら、まずPETGを検討すると判断が速いです。

TPU:ゴム的用途の1本(保護・衝撃・擦れ防止)

向いているもの:滑り止め、クッション、保護カバー、配線保護、防振、当たりゴム
メリット:柔らかい、衝撃を吸収する、擦れ防止に使いやすい
注意点:設定がシビアになりがち/糸引きや押し出し不安定が出やすい

TPUは“必要なときだけ”で十分ですが、いざ必要になると代替が効きにくい素材です。


迷ったときの最短フロー(用途→条件→難易度)

  1. 屋外で使う?紫外線や雨にさらす?
    → YES:後半の「例外条件(ASAなど)」へ
    → NO:次へ
  2. 割れ・欠け・ネジ周りの破損が心配?
    → YES:PETG
    → NO:次へ
  3. 柔らかさ・衝撃吸収・擦れ防止が必要?
    → YES:TPU
    → NO:PLA

「他素材はいつ必要?」に答える、例外の3条件

3本柱で足りなくなるのは、だいたい次のどれかが発生したときです。

例外1:屋外(耐UV・耐候)

  • 直射日光、雨、屋外に置きっぱなし
    ASA などの耐候性素材を検討する価値があります
    (ただし屋外向け素材は、家庭環境だと換気・反り対策などのハードルが上がりやすいです)

例外2:高温(熱が厳しい)

  • 車内放置、熱源の近く、夏場に温度が上がる場所
    → 条件が厳しい場合は PC系 などが候補になります
    (ただし温度管理や反り対策の難易度が上がります)

例外3:耐摩耗・摺動(擦れ続ける、摩耗が主問題)

  • 摺動する部品、擦れ続ける機構、摩耗が寿命を決める部品
    PA(ナイロン)系 が候補になります
    (ただし吸湿が強く、乾燥や保管の難易度が上がります)

まとめると、「屋外」「高温」「摩耗」のどれかが出たときは、3本柱以外で検討する必要があります。


乾燥の現実:家庭用途でも“気を遣う順”はあります


乾燥が必要かどうかは素材と用途で温度差があります。
正直、乾燥機を持っておくと何かと便利です。
私は吸湿したPETGを用いて、きっかけで修理に出す羽目になったことから、基本PLA以外は事前に乾燥することにしています。

  • 最優先で効きやすい:PA(ナイロン)
  • 効きやすい:TPU(糸引き・表面・押し出し安定)
  • あると安心:PETG(糸引きや表面に効くことが多い)
  • 比較的ラク:PLA(もちろん湿気で劣化しますが、許容が広め)

「乾燥済み封入」と書かれていても、輸送・保管の条件で状態は変わります。
まず短時間テスト→症状が出たら乾燥、が家庭用途では一番ラクです。

eSUN filament dryer box used for drying and stabilizing FDM 3D printer filaments such as PLA, PETG, ABS, and Nylon
eSUN製のフィラメント乾燥機(ドライボックス)です。吸湿したフィラメントを乾燥させてから使用することで、FDM印刷時のトラブル回避や造形品質の安定につながる場合があります。

※本記事では製品の推奨や評価を目的としたものではありません。

乾燥機はあった方がいいです。


エンクロージャー(囲い)について

ご承知の通り、Bambu lab A1やA1miniは下記の素材を推奨素材としていません。それはエンクロージャーが付属していないことが大きな理由だと考えられます。一応、外付けのエンクロージャーも市販品であります。

素材メリットデメリットエンクロージャー
ABS強度/耐熱そこそこ・安い・アセトン仕上げ反りやすい・臭い/排気の問題・屋外で劣化ほぼ必須(実用上)
ASA耐UV・ABSより反り/臭いが軽い傾向・屋外向き反りは依然出る・臭い/排気は必要強く推奨〜実用上ほぼ必須
PC高耐熱・強靭反り/層間割れが出やすい・接着/面材シビア推奨(安定に効く)
PA(ナイロン)強靭・耐摩耗・機能部品向き吸湿が強い・反り/収縮・印刷難易度高い推奨(+乾燥が最重要)

TPU編:到着前の準備(初回成功率を上げる)

TPUって少し特殊な素材に思えて、初めて使うときは期待とドキドキがありました。

1)まずは短時間テスト前提で考える

TPUは“作品を作る”前に、まず 短時間のテストで状態確認するのが近道です。

2)開封直後でも、症状が出たら乾燥する

乾燥の判断は「音と表面」が分かりやすいです。

  • 押し出しで「プチプチ」「ジュッ」っと音がする
  • 表面がザラつく/小さな穴が出る
  • 糸引きが異常に多い(速度を落としても改善しにくい)

このどれかが出たら、乾燥で改善する可能性が高いです。

3)初回は“完走優先”に寄せる

最初は完璧さより 詰まらず完走を優先します。
糸引きは後で詰められます。

(スペーサー:高さ30)


TPU編:初回テスト手順(1回で次の調整が決まる)

Step 1:テスト形状を小さくする

  • 10〜20分で終わる形状にします
  • 糸引きが出やすい「移動」が含まれる形が理想です

Step 2:安全運転で1本目を出す

  • 速度は遅め
  • 温度はメーカー推奨域の範囲で開始
  • まずは完走して、症状を観察します

Step 3:症状→次の一手(改善順を固定する)

改善はこの順番が迷いにくいです。

  1. 速度を落とす
    2)(疑わしければ)乾燥を入れる
  2. 温度を±5℃で微調整
  3. リトラクションを小さく動かす

✅ TPU初回テスト 記入テンプレ

プリンター:____

  • TPU銘柄:____(硬度:__)
  • ノズル:__mm
  • 乾燥:__℃ × __時間(方法:__)
  • 室温:__℃

主要設定(初回)

  • ノズル温度:__℃
  • ベッド温度:__℃
  • 速度(外周/内周/インフィル):__ / __ / __
  • リトラクション:__mm(速度__)
  • 冷却:__%
  • その他:____

結果

  • 糸引き:なし / 少 / 多
  • 詰まり:なし / あり(__回)
  • 押し出し安定:安定 / 不安定
  • 表面:良 / 普通 / 荒い(症状:__)
  • 寸法:設計__mm → 実測__mm
  • 次の一手:____

まとめ:家庭用途は3本柱で十分、他は必要があれば考えよう!

  • 基本はPLA(安定・精度・見た目)
  • 強度や耐久が欲しければPETG
  • 保護・衝撃・擦れ防止ならTPU
  • 例外は 屋外(耐UV)/高温/耐摩耗・摺動 の3条件
  • 乾燥機があると、TPU/PETGの失敗率が一段下がります。正直PLA以外の素材を使う方はあった方がいいですね。

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