
Designing a 3D Printed Watch Stand for the Naval Aviation Watch “ZUIUN”
この記事の内容
- 梶本時計店オリジナル腕時計「海軍航空時計 瑞雲」について
- 瑞雲時計専用の時計台を作った理由
- 実物の時計に合わせて試作・調整した制作過程
- 梶本時計店三代目店主さんのアイデアを取り入れた部分
- 3Dプリンターで専用品を作る面白さ
- 完成した瑞雲時計台とBOOTHでの販売について
記事概要
呉の梶本時計店さんがオリジナル腕時計「海軍航空時計 瑞雲」を制作されると聞き、「この時計に似合う専用の時計台を作ってみたい」と思ったのが今回の制作の始まりです。
航空機のコクピットや計器盤をイメージして設計し、試作品を何度か梶本時計店さんへ持ち込み、実際の瑞雲時計を載せながらサイズや使い勝手を調整しました。その過程では三代目店主さんからもアイデアをいただき、現在の形に仕上がっています。
完成した時計台は梶本時計店さんにも置いていただき、最初にお預けした2台はありがたいことに完売しました。
今回は、瑞雲時計そのものと一緒に、この時計台ができるまでをご紹介します。
海軍航空時計 瑞雲 専用時計台を作ったきっかけ
今回の時計台を作るきっかけになったのが、広島県呉市の梶本時計店さんが制作したオリジナル腕時計「海軍航空時計 瑞雲」です。
梶本時計店さんは昭和13年創業の時計・宝石・時計修理の専門店で、現在は三代目店主さんが営まれています。
戦艦大和など呉らしい題材を取り入れたオリジナル時計も制作されてきた時計店です。
今回の「海軍航空時計 瑞雲」の企画について最初に聞いたのは2025年の12月頃でしたか、
しかしお話を聞いている内に
せっかくなら、時計を置く場所も瑞雲時計専用にしたら面白いのではないか。
普通の腕時計スタンドでも時計を置くこと自体はできます。
ただ、この時計には背景があります。
それなら、その背景を少し感じられる時計台を作ってみようと思いました。
梶本時計店の「海軍航空時計 瑞雲」ご紹介
今回の「海軍航空時計 瑞雲」は、水上爆撃機「瑞雲」に搭載されていたとされる航空時計をモチーフとして企画されたオリジナル腕時計です。
限定200本として案内され、2026年8月の現在では完成品の受け渡しも始まっています。

【海軍航空時計 瑞雲・時計単体】
実物を見ると、まず黒を基調とした文字盤とケースが目に入ります。航空時計らしい大きな数字と視認性の高い文字盤で、一般的な腕時計とは少し違った雰囲気があります。
そして革製のベルトもしっかりと厚みがあります。時計本体にもほどよい重量感があり、実際に手に取ると写真で見る以上にずっしりとした重量感のある時計でした。
裏にはシリアルナンバーが打たれています。ちなみに私のシリアルナンバーは17番でした。
専用箱まで含めて「瑞雲」の世界観が作られている
瑞雲時計は、時計本体だけでなく専用の化粧箱に収められています。

【海軍航空時計 瑞雲の専用ケース】
深い緑色を基調に赤い帯を組み合わせた箱で、中央には「海軍航空時計 瑞雲」の文字が入っています。
時計を取り出す前から、単なる腕時計ではなく「海軍航空時計 瑞雲」という一つの商品として世界観が作られているのが印象的でした。
コクピットをイメージした瑞雲時計台を考える

瑞雲時計は、航空機に搭載された時計をモチーフにしています。
そこで時計台側も、航空機のコクピットや計器盤をイメージすることにしました。
ただし、本物の瑞雲のコクピットを忠実に再現することが目的ではありません。
主役はあくまで時計です。
時計を置いたときに少し航空機らしい雰囲気が加わり、瑞雲時計の背景を感じられるような形を目指しました。
カラーもミリタリー系のグリーンを基調とし、前面には金属調のプレートを配置しています。左右にはボルトを配置し、機械や計器を思わせる雰囲気を加えました。
Fusion 360で設計し、3Dプリンターで試作する
設計にはFusion 360を使用しました。
腕時計のケース径やベルト幅を測り、それに合わせて時計台の形を作っていきます。
ただ、ここで一つ問題があります。
寸法が合っていても、実際に時計を載せたときに使いやすいとは限りません。
腕時計にはケースの厚みがありますし、ベルトにも厚さや硬さがあります。また時計を載せたときの角度によっても見え方はかなり変わります。
そこで一度作って終わりではなく、試作品を作って確認することにしました。
試作品を梶本時計店へ持ち込んで調整
今回の時計台では、試作品を何度か梶本時計店さんへ持ち込んでいます。
実際の瑞雲時計を時計台に載せ、時計の収まり方や斜めに置く角度、ベルトの位置などを確認しました。
画面の中で寸法を合わせるのと、実物を載せるのではやはり違います。
少し幅を変えた方がいい。
ここはもう少し余裕があった方がいい。
実際に時計を置くことで、Fusion 360の画面だけでは気付かなかった部分が見えてきます。
修正して再び3Dプリンターで出力し、また実物と合わせる。
今回の時計台は、そうした試作を繰り返しながら形を決めていきました。
最初に比べるとずいぶん形状はまとまったものになったと思います。
三代目店主さんのアイデアで現在の形に
試作を進めている途中で、梶本時計店の三代目店主さんから一つアイデアをいただきました。
それが、
「腕時計を外したら、そのまま上から載せられる方が使いやすい」
というものでした。
これは実際に時計を扱っている方ならではの視点だと思います。
一般的な時計スタンドのように横から差し込む構造にすると、毎回ベルトを通したり位置を合わせたりする必要があります。
私の当初の設計は腕時計のバンドをくるりと回し留めるというものでした。
ちなみにこの時計台にもシリアルナンバーを打っています。
今のところ2桁まで作っていないので一桁Noです。

しかし、腕から時計を外して、そのまま上から置ければ日常的に使いやすい。
「そりゃ、そのまま置けるものじゃないと使い勝手が悪いに決まってる!」
実際時計店の時計台もそのまま置くものが多いようです。
聞けば当たり前のことでも気づかないことがあるものです。
そこで現在の瑞雲時計台では、時計を上からセットできる構造にしています。
時計を飾るための台ではありますが、毎日使う腕時計を置く場所でもあります。
見た目だけでなく、使いやすさも考えた現在の形は、このアイデアがあって完成したものです。
店内で実際の瑞雲時計を載せてみる
完成に近づいた時計台に実際の瑞雲時計を載せたのがこちらです。

【海軍時計瑞雲時計台】
梶本時計店さんの店内で撮影していただいた写真です。横にはSHIPYARD & SOULSHIPの名刺も一緒に置いていただきました。
※余談ですが、この名刺、広島で7月に開催された「ホビーベースHB」様主催の模型展示会で制作したプラモで出展し初お披露目にする予定だったのですが
急な出張予定が入ってしまい取りやめたためそのまま手元に残ったものです。予定では9月倉敷で開催される「おかホビ」でお披露目する予定です。
こうして実際の時計を載せてみると、自宅で時計台だけを見ていたときとはかなり印象が変わります。
黒い時計とミリタリーグリーンの時計台の組み合わせが思っていた以上によく合いました。
文字盤が正面を向くことで、腕時計というよりも小さな航空計器が置かれているようにも見えます。
作っている途中では細かな寸法ばかり気にしていましたが、この姿を見たときに「これはちゃんと形になったな」と感じました※。
※自画自賛かも
革ベルトを無理なく収めることも重要でした
瑞雲時計のベルトは、しっかりした革製です。
このベルトが時計台を作るうえでは意外と重要でした。
柔らかいベルトなら多少形が違っても収まりますが、厚みのある革ベルトの場合、無理に曲げるような形にはしたくありません。
そのため時計本体だけでなく、時計を置いたときにベルトが自然に後ろへ流れるよう、時計台の幅や形状を調整しています。
完成形では、腕から外した時計をそのまま上から載せると、時計本体が中央に収まり、ベルトも自然に時計台の後ろへ回るようになっています。
こうした部分は見た目にはあまり目立ちませんが、実際に使う道具を作るときには大切な部分だと思っています。
3Dプリンターだから「専用品」が作れる

時計台そのものは世の中にたくさんあります。
しかし、
「海軍航空時計 瑞雲に合わせる」
「航空機の計器盤をイメージする」
「瑞雲時計の革ベルトに合わせる」
「時計を上から簡単に置けるようにする」
ここまで条件を絞った製品になると、当然ながら既製品では見つかりません。
だったら作ってしまえばいい。
これが3Dプリンターの面白いところです。
家庭用3Dプリンターというと、フィギュアや小物を作るイメージも強いと思いますが、個人的にはこうした**「特定のものに合わせた専用品」**こそ非常に相性がいいと感じています。
模型制作でも同じです。
この模型に合う台がない。
このフィギュアに合う展示用品がない。
だったら寸法を測って自分で作る。
今回の瑞雲時計台も、その延長線上で生まれたものです。
いやー。3Dプリンターって面白いですね。
梶本時計店に置いていただいた2台が完売

完成した瑞雲時計台は、梶本時計店さんにも置いていただきました。
※こちらの写真にあるネイビーブルーの時計台は梶本時計店オリジナルの軍艦懐中時計に合わせて作ったものです。
きっかけは「海軍航空時計 瑞雲」の為の時計台だったのが先にこちらを披露になりました。
3Dプリンターで作る懐中時計スタンド|軍艦時計に最適化した時計台「Moonlit Sea」
こちらで詳しく述べています。
最初に瑞雲時計に合わせた時計台を2台をお預けしていたのですが、ありがたいことに2台とも購入していただきました。
自分で設計したものを誰かが実際に使ってくれる。
これは何度経験してもうれしいものです。
特に今回の場合は、「瑞雲時計を持っている方が、その時計を置くために時計台を選んでくれた」ということになります。
作り始めたときに考えていた使い方そのものです。
瑞雲時計があったからこそ生まれた時計台なので、その組み合わせを気に入ってもらえたことが一番うれしかったです。
ご購入いただいたお客様大変ありがとうございました!
心より感謝申し上げます。
瑞雲時計台はBOOTHでも販売しています
今回制作した瑞雲時計台は、SHIPYARD & SOULSHIPのBOOTH SHOPで販売しています。
3Dプリンターで一点ずつ制作しているため、大量生産品ではありません。
瑞雲時計を机やコレクションスペースに飾りたい方に使っていただければと思っています。
今回の時計台も、最初から「商品を作ろう」と考えて始めたものではありません。
梶本時計店さんの瑞雲時計を見て、
「この時計専用の時計台があったら面白い」
と思ったところから始まりました。
そこから試作し、実物に合わせ、店主さんから意見をいただき、最終的に販売するところまでつながりました。
こうした小さなアイデアを実際の形にできることが、3Dプリンターを続けている大きな楽しみの一つになっています。
まとめ
今回は、梶本時計店さんのオリジナル腕時計「海軍航空時計 瑞雲」に合わせて制作した専用時計台をご紹介しました。
航空機のコクピットや計器盤をイメージして設計し、実際の瑞雲時計に合わせながら何度か試作しています。
特に現在の「時計を上から置く」構造は、梶本時計店三代目店主さんからいただいたアイデアを取り入れたものです。
自分一人で設計して完成させる作品とは違い、実際に時計を扱う方と話しながら形が変わっていったことも、今回の制作で面白かったところでした。
そして梶本時計店さんに置いていただいた2台も、無事に購入していただくことができました。
「専用品がなければ作ってみる」。
模型でも実用品でも、この考え方は3Dプリンターととても相性がいいと思います。
これからも、模型や趣味の中で「こんなものがあったらいいな」と思ったものを少しずつ形にしていきたいと思います。

コメントを残す